乾癬性関節炎の症状と治療、予後をチェック!リウマチとの違いとは

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乾癬の諸症状に加えて、全身の関節に炎症や変形が生じる乾癬性関節炎。痛みは相当なもので、発熱が見られることもあります。

今回は、乾癬性関節炎の症状や治療、予後経過について特集しました。混同されがちな、関節リウマチとの違いも明らかにしていきます。

乾癬性関節炎の概要

乾癬性関節炎 1

乾癬性関節炎とは、皮膚の病気「乾癬(かんせん)」に、腫れ及び痛みを伴った関節炎を合併した病気のことをいいます。

“感染”するイメージと結びつきやすく混同する恐れがあるので、関節症性乾癬(PsA)と呼称を改める流れもありますが、本記事では以前からの名称の「乾癬性関節炎」で統一し、解説を進めさせていただきます。

乾癬と関節炎が同時に訪れる

乾癬は、ひじ・ひざ・頭皮などに、ポロポロと剥がれ落ちる厚めの角質を伴った紅斑ができて、良くなったり悪くなったりを繰り返します。

一方関節炎は、手足の指先の関節、足裏やかかと付近に痛み・腫れが生じ、首や背中にこわばりが見られます。

血清反応陰性脊椎関節炎の末しょう型に分類

多くは、血清反応陰性脊椎関節炎の末しょう型に分類されます。原因については未だ解明されておりません。

ただ、現段階においては、体質的に発症する傾向の強い人に、様々な外的要因が加わって発症に至るのではないか、と考えられています。

自分が持つ免疫が異常反応して、自分自身を攻撃する自己免疫疾患の一つに分類されています。

乾癬性関節炎の発症傾向

乾癬性関節炎 発症率 日本人 白人

乾癬性関節炎は遺伝性の病気ではありませんが、「家族集積性」と言って血縁関係内に乾癬患者がいると、発症する可能性が高いと言われています。

乾癬性関節炎は、人種によって発生頻度は異なりますが、全人種で一定数見られます。

白人で1~2%、日本人では0.01~0.1%程だと言われ、やや欧米の白人系に高い傾向があります。平成20年に厚生労働省が行った患者調査では、10万人いると推測されています。

関節炎を発症するのは、乾癬患者のうち1~10%程とされ、乾癬性関節炎はまれな疾患とされます。

乾癬性関節炎の発症タイミング

どの年代にも起こりえることですが、20代が発症のピークで、若い年代での発症が多いです。男女比はなく、ほぼ同数で起こると考えられています。

乾癬性関節炎の症状

乾癬性関節炎では、皮膚疾患の乾癬の進行が先であることが多いとされています。症状が発症する場所ごとに分類してお伝えしていきます。

皮膚症状

通常の皮膚であれば、皮膚の表面を覆う表皮は、28日程度の間隔で作られ、垢として落ちていきます。しかし乾癬では、この間隔が4~7日程度と、著しく短縮されてしまっています。

皮膚に赤みを帯び、剥がれた皮膚の一部が白く付着するという病変が認められます。通常であれば皮疹に自覚症状は伴いませんが、痒みが生じる場合もあります。

皮膚症状は、肘や膝、頭など、刺激を受けやすい場所に出現しやすいものです。爪の病変にも種類が多く、爪の厚みが増す・剥がれる・くぼむ、といった変化があります。

いわゆる「水虫」のような見た目になることもありますので、注意しなくてはいけません。

関節症状

関節症状は、手指に腫れと痛みが出てきます。

第2関節や指の付け根付近の関節が炎症を起こしやすい関節リウマチとは違って、第1関節に炎症が発生し、腫れたり痛んだりしてきます。末梢関節炎と言って、一般的に左右非対称に症状が現れます。

症状が進行すると、手首や膝、足首、かかとなどの関節にも、炎症による痛みが出てきます。

関節炎が慢性的に継続すると、骨の破壊が起こった上に新たな骨の形成が始まり、手のX線写真には特徴的な変化がみられるようになります。

ただし、関節炎の活動性と皮疹の活動性というのは、必ずしも一致するわけではありません。

指炎(指趾炎)、付着部炎

指全体が、ソーセージのようにプクプクに腫れあがることがあり、この状態を指炎と言います。また、腱や靭帯が骨に付着してる部分に炎症を生じることがあり、これを腱付着部炎と言います。

膝や股関節、肩、肘にも現れることがありますが、多くはかかとのアキレス腱付着部に起こります。

その他の炎症

他にも、ぶどう膜炎・結膜炎などとして、眼に炎症が起こることがあります。症状としては、眼が痛んだり、見えにくくなったりします。

また、仙腸関節(腰の後ろにある関節)や脊椎(背骨)の関節に炎症が起こることがあります。腰に痛みを生じますが、動かすと楽になるといった、変則的な痛み方をします。

乾癬性関節炎の診断

乾癬性関節炎 3

乾癬と診断された人に、典型的な関節炎症状が出現した場合は、診断は比較的簡単です。

しかし、ご自身が乾癬の皮疹に気づいていないケースや、出現前である時には病気がハッキリせず、診断に時間を要することもあります。

乾癬性関節炎で使われる分類基準

乾癬性関節炎の診断には、以下の分類基準が用いられます。

乾癬性関節炎の分類基準(CASPAR) (2006年)【感度98.7%、特異度91.4%】
  1. 現在乾癬にかかっている*、または過去に乾癬があった、または兄弟姉妹や両親、祖父母に乾癬の方がいる
  2. 典型的な乾癬の爪病変(爪剥離症、陥凹、過角化)がある
  3. リウマトイド因子という血液検査が陰性
  4. 指全体が腫れる指炎がある(あった)
  5. 手、足のX線検査で特徴的な所見(関節近傍の新骨形成)がある

*現在乾癬にかかっている場合は2点とする。

出典:日本内科学会 リウマチ学

炎症性の関節疾患(関節炎、脊椎炎、または付着部炎)を有する方で、上記各項目を1点とし、3点以上が該当した場合に乾癬性関節炎と診断されます。

(一般向け)乾癬性関節炎のチェックリスト

もっとわかりやすく、乾癬性関節炎かどうか確認可能なチェックリストもありますので、ご確認ください。次の15項目について、ひとつでも思い当たる点がありましたら、関節症状を主治医にご確認ください。

症状に関して ほぼ1日中、疲れを感じている。
関節が痛むことがある。
背中が痛むことがある。
関節が腫れている。
関節が熱をもつことがある。
手足の指がソーセージのように腫れている。
関節の痛みが他の関節に移ることがある。(例:手首の痛みが数日続いた後、膝が痛くなるなど)
関節の機能に関して 関節の症状が、仕事に影響を及ぼしている。
関節の症状が、身の周りの動作に影響を及ぼしている。(例:着替えや歯磨きなど)
時計や指輪を身につけるのに苦労する。
車の乗り降りに困難を感じることがある。
以前は出来ていた動作ができない。
朝起きてから2時間以上、関節のこわばりを感じる。
朝が最もつらい時間である。
時間帯に関係なく、普通に動けるようになるまで数分かかることがある。

出典:乾癬ネット

乾癬性関節炎の診断に使われる機器

上記のような所見や・チェックリストを元にして、レントゲンで乾癬性関節炎の特徴的所見の有無を確認します。

また近年では、関節を見ることができる関節超音波の技術が非常に向上しており、乾癬性関節炎の診断にも実用されます。

アキレス腱などを超音波検査すると、乾癬性関節炎(PsA)の患者さんは炎症を認めます。このように、見た目と症状、レントゲン、関節超音波などを活用して、診断されます。

乾癬性関節炎とリウマチとの違い

乾癬性関節炎 4

関節症状でもお伝えしましたが、乾癬性関節炎の症状は、一部リウマチと類似していますが、決定的な違いが3つ挙げられます。

①乾癬性関節炎は指の第一関節まで侵される

リウマチは、主に指の第二関節以下で症状が起きます。乾癬性関節炎では、その先の第一関節まで侵され、鉛筆の先端にキャップをかぶせたかのような特徴的な見た目をしています。この見た目から、「pencil-in-cap像」と呼ばれます。

この時、乾癬性関節炎の第一関節の変形は、変形性関節症とも症状が似ているため、注意が必要です。

②乾癬性関節炎は背骨も侵される

リウマチは、あらゆる関節に症状が出現してくる疾患です。ただ、脊椎に関しては侵されにくいとされます。

乾癬性関節炎では、脊椎・背骨も侵されます。脊椎炎が起き、脊椎の痛みが出てきます。痛みは、腰や背中、首筋に及ぶことがあります。

③乾癬性関節炎は腱も侵される

乾癬性関節炎(PsA)は、付着部炎と言い、アキレス腱などの腱に痛みが出ることがあります。

その他に、乾癬性関節炎は指全体の腫れや、爪に現れる特徴的な症状があります。

乾癬性関節炎の治療と予後

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皮膚や爪に出た病変に対しては、基本的に皮膚科での診断・治療となります。治療には

  • ビタミンD軟膏
  • ステロイド外用薬
  • PUVA療法(紫外線を使った治療法)

があります。

重症型の患者さんには、

  • メトトレキサート(商品名:リウマトレックス®)
  • シクロスポリンA(商品名:ネオーラル®)

などを内服したり、後述の生物学的製剤が使われることもあります。

乾癬性関節炎の初期治療

関節炎や指炎、腱付着部炎を有する乾癬性関節炎には、2012年欧州リウマチ学会(EULAR)発表の奨励を参考に、以下の治療を行うことがあります。

まず、乾癬性関節炎の患者さんに対しては、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)が推奨されます。NSAIDsを3~6ヶ月間服用したのに関わらず、改善の兆しが見られない場合や、予後不良因子がある場合には、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)のメトトレキサートの使用が勧められます。

もしも副作用の都合上、メトトレキサートが使用できない場合には、サラゾスルファピリジン(DMARDs)が用いられることが多くあります。

さらに、メトトレキサートかサラゾスルファピリジンを3~6ヶ月使用しても、関節炎の症状改善が不十分である場合や、DMARDsの3~6ヶ月併用しても改善に乏しい時、もしくは脊椎・骨盤の病変がある場合には、生物学的製剤への移行となります。

生物学的製剤の機能

生物学的製剤とは、化学的合成でできたものではなく、生物が産生したたんぱく質を利用しているため、このような名称で呼ばれます。近年、関節リウマチをはじめとした自己免疫疾患に対して使用されるようになってきました。

乾癬性関節炎での使用で日本で認可されている薬は、以下3種です。

  • インフリキシマブ(商品名レミケード®)
  • アダリムマブ(商品名ヒュミラ®)
  • ウステキヌマブ(商品名ステラーラ®)

いずれも、従来使われた薬と比較すると効果が高く、副作用の小ささが特徴です。懸念される点としては、どの薬も高価で、自己負担3割で、月額の薬代だけで数万円に上ることでしょう。

生物学的製剤の作用機序

インフリキシマブとアダリムマブは、腫瘍壊死因子(TNF)という炎症を起こす物質の働きを、直接的に抑えます。

臨床研究においては、関節炎のみならず、皮膚や爪、指炎、腱付着部炎にも絶大な効果を認められました。

インフリキシマブは、点滴薬で、基本的に2ヶ月に1回の点滴で済みます。アダリムマブは自己注射薬で、2週間に1回皮下注射を行います。

注意すべき副作用としては、感染症や、アレルギー反応があります。

ウステキヌマブは、炎症を司る物質の働きを抑える働きがあります。臨床実験においても乾癬に対しての効果が示されていますが、皮膚症状に対する効果が明らかとなりました。

ウステキヌマブは、皮下注射薬で、最初は1ヶ月間隔、以降は3ヶ月に1度の頻度で注射します。感染症や肝機能異常などの副作用が報告されています。

現在は、上記の生物学的製剤のほか、炎症物質を抑えるセクキヌマブという生物学的製剤の治験も進行中で、今後の治療の発展に期待されています。

ストレス削減の指導も

乾癬の皮膚病変は、ストレスが悪化要因となることが分かっています。乾癬性皮膚炎も、例にもれずストレスが悪化に拍車をかけることが指摘されていますから、まずは気持ちを落ち着かせ、ストレスをためないことが大切です。

乾癬性関節炎は、怪我や感染などによっても誘発されることが知られています。

乾癬性皮膚炎の予後

乾癬性皮膚炎は、関節リウマチと同じような経過をたどります。徐々に関節の破壊が生じ、変形がすすみます。脊椎強直を伴うタイプでは、脊椎が固まると、多くの場合痛みは消えるのですが、首や腰の可動域は狭くなり、動きに制限がかかります。

ただし安心していただきたいのは、関節症状は進行するものの、通常は生命予後への影響はないとされます。生物学的製剤の使用により、関節破壊や脊椎病変の進行を止め、関節変形や脊椎強直の防止になります。

まとめ

乾癬性皮膚炎の症状や治療、予後について特集してきました。

原因が明らかになっていないものの、症状改善のヒントは、日に日に明らかになってきています。

なお、症状の進行が進み、関節が壊れた場合には、人口関節手術をして対応することが可能です。

痛みが伴ってつらいことの多い疾患ですが、絶対治る!という強い気持ちを意識に刷り込んで、改善を目指していきましょう。

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