【最新】乾癬治療を特集 大幅な症状改善効果のある新薬が日本に登場

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赤く、こんもりと盛り上がった発疹に、カサカサして剥がれ落ちる皮膚。鱗屑(りんせつ)と呼ばれ、この症状を慢性的に繰り返す病気のことを「乾癬(かんせん)」と言います。

乾癬の症状自体の苦痛に加え、肌を見られることによるストレスも、日々患者さんにとっては重圧となっている現状があります。

日本で乾癬に罹患している患者さんの数は、2003年の時点で約3万人と言われてきましたが、現在は10万人を突破したと推測されています。ほんの十数年の間に、3倍以上もの患者数の伸びは、驚異的です。

今回は、日本において急増する乾癬の治療法と最新情報をまとめてお伝えしていきます。

乾癬の治療

爪 乾癬 4 治療

原因は不明で、解明されていない部分の多い乾癬という病気。

乾癬の治療方法は、大きく分けて3種類あり、対症療法となります。個々の治療法には、それぞれ長所と短所があります。

乾癬の発症には、表皮細胞の異常増殖と、免疫異常が深くかかわっていると考えられています。よって、その二つの改善にアプローチする薬を用いります。

どの治療法が抜きん出て良いというわけではなく、合う・合わないは患者さんによって異なります。

外用療法(塗り薬)

乾癬治療の基本中の基本です。外用療法とは、塗り薬を塗る方法です。主に次の3つの薬剤が使用されます。

ステロイド外用薬

ステロイドと言えば、皮膚の炎症への効果が高い、最も有名な薬といってよいでしょう。アトピー性皮膚炎の治療にも使用される、定番の薬です。ステロイド外用薬は、白血球の活動や血管の拡張を抑えて炎症を鎮める薬剤です。

ステロイドは、紅斑(こうはん)という毛細血管の拡張などを原因として皮膚表面が発赤した状態の皮膚への治療に効果の高いものです。

塗ると、比較的効果が早く現れて即効性の高いのですが、長期的に漫然と使用を続けると、皮膚萎縮や毛細血管拡張などの副作用が引き起こされる可能性もあります。

人体への効果・影響の強さによって、5つのランクに分類されて、乾癬の症状に応じて使い分けます。

ビタミンD3外用薬

乾癬患者の皮膚は。表皮細胞の増殖速度が異常になってしまいます。

ビタミンD3は、増殖を抑えて正常な皮膚に導くように働きかけます。表皮細胞の増殖を抑えてくれるので、鱗屑や、皮膚の盛り上がり改善に効果的です。

ステロイド外用薬と比較すると、即効性の低い塗り薬です。1回の塗布量を守らず、多く塗るなどの間違った使い方をすると、のどの渇き、食欲不振、脱力感などの全身性の副作用が出ることがあります。

ただ、それもステロイド外用薬の長期使用で起こる皮膚萎縮などのような、見た目を損なう副作用の心配はないとされています。

ステロイドとビタミンD3の配合外用薬

上記2つの塗り薬を混ぜたものが、配合外用薬です。ステロイド外用薬とビタミンD3外用薬の効果をあわせもっているので、即効性と十分な効果を期待することができます。

しかし、両方の副作用にも目を向けなくてはいけません。

なお、現在配合外用薬には軟膏しかないのですが、ステロイド外用薬とビタミンD3外用薬には軟膏のほか、クリーム、ローションなど、種類があります。塗布する部位に適した剤形が選べるようになっています。

光線療法(紫外線照射)

塗り薬(外用薬)だけで症状が改善しないときや、発疹の面積が広がってしまったときには、光線療法が用いられます。光源ランプを使って、患部に紫外線を照射します。

紫外線は、波長で種類が分けられますが、効果が立証されているものは、中波長紫外線(UVB)と長波長紫外線(UVA)です。

紫外線と聞くと、シワやシミの原因になるという悪いイメージがあるかと思いますが、近年一般的になってきたのはUVBに含まれる有害な波長を取り除いて、治療効果のある波長のみを使う「ナローバンドUVB療法」です。

治りの遅い部位や、光を照射しづらい箇所の治療に有効である「ターゲット型エキシマランプ」も普及が進んでいます。

UVAは、光への感受性を高める薬剤の内服、または外用を行ってから照射する「PUVA療法」に用いられています。

紫外線は、太陽光線にも含まれているので、日中は適度な直射日光に当たることも勧められています。

しかし、シミ・シワだけでなく皮膚の発がん原因になるなど、紫外線には負の作用もありますから、過度の日焼けは禁物です。医療現場での適切な管理のもと、紫外線を利用したほうがよいでしょう。

内服療法(飲み薬)

飲み薬として、

  • レチノイド(ビタミンA誘導体):皮膚細胞の異常増殖を抑制する
  • シクロスポリン(免疫抑制薬):免疫反応を抑える

などが用いられます。

レチノイドは、単独で使用される場合と、光線療法と組み合わせる場合があります。

乾癬に効果的な生物学的製剤とは

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外用療法、光線療法、内服療法という代表的な治療で効果が見られない患者さんには、バイオテクノロジーをもとに開発がなされた「生物学的製剤」が使用されます。生物学的製剤を利用した治療法のことを、抗体療法と言います。

皮下注射と点滴の2種類があり、病変部位に大量に発生している炎症物質を抑制する働きがあります。

2010年に保険適用開始のレミケード

2010年1月という、ごく最近に保険適用となった「レミケード」も、生物学的製剤の一種です。乾癬患者が待ち望んでいた、臨床試験ではこれまでにはない、すぐれた効果が認められた治療薬なのです。

国内でレミケードは、クローン病・関節リウマチ・ベーチェット病による難治性網膜ぶどう膜炎の患者さん5万人以上に使用されています。

レミケードの作用メカニズム

レミケードは、抗TNFαの抗体とも呼ばれるように、患部で増加したTNFα(炎症物質)に結合して、TNFαの働きをブロックします。さらに、TNFαを作り出す細胞にダメージを与える働きもします。

レミケードの臨床実績

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乾癬のうち、90%を占める「尋常性乾癬」の患者さん99名に対して行われた臨床研究では、最初にレミケードを投与してから2週間、6週目の3回継続して投与したところ、最初に投与してから4週目の時点で、約50%の患者さんに急激な皮膚症状の改善が見られたのです。

さらに10週間後には、88%もの患者さんに皮膚症状の大幅な改善が見られました。

最終的には、

  • 長期的に皮膚症状を改善し続ける効果を期待
  • 変形した爪を正常な形の爪に改善する効果がある
  • 関節破壊の進行を防ぐことができる

など、多くの驚くべき効果が見られました。

レミケードの副作用

ただし、生物学的製剤れレミケードの効果が絶大な分、副作用が生じることもありますので、注意が必要となります。主な副作用は以下の通りです。

  1. 免疫力の低下により、肺炎・敗血症・日和見感染・結核などの感染症にかかりやすくなることがある。
  2. 点滴をしてから3日以上経過後に、発熱・発疹・筋肉痛といったアレルギー症状が出現することがある。
  3. 神経疾患の脱髄疾患が起こることがある。
  4. 薬による間質性肺炎が起こることがある。
  5. 血液障害や肝機能障害が起こることがある。

他にも抗体療法には、アダリムマブ(皮下注射)、インフリキシマブ(点滴注射)、ウステキヌマブ(皮下注射)などがあります。

乾癬の治療の流れ

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乾癬の治療の流れとしては、患者さんの症状や薬による効果を見つつ、配合外用薬を使用したり、ステロイド外用薬・ビタミンD3外用薬を単独、または組み合わせて使用したりします。

スタートは外用療法

乾癬治療の中心は塗り薬である外用療法で、多くの治療のスタート地点となります。そこから、症状の進行にともなって、光線療法・内服療法を使って、それでも十分な効果が得られない場合は、生物学的製剤による治療に移行します。

補助的な治療薬も使用

かゆみがひどい時には、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などのかゆみ止めが用いられます。関節炎を伴った状態でひどい場合には、痛み止めとなる塗り薬や湿布、飲み薬が処方されることもあります。

患者一人一人で異なる治療方針

乾癬を治療する皮膚科医は、患者さんの皮疹の範囲、状態、検査データなどから、重症度を判定します。そして、各治療方法の長所と短所、副作用、患者さんの悩み・苦痛の程度、患者さん自身のおかれた環境などを考慮したうえで、治療方法を選択します。

まとめ

治療薬、治療の方針、近年注目されてきた生物学的製剤を用いたものなど、最新の乾癬治療をお伝えしてきました。

乾癬は皮膚症状が気になってしまい、

  • 夏場は腕を露出できず薄着になれない。
  • 外出もできない。
  • 髪も切りにいけない。

など、患者さんにとっては精神面と社会生活に支障が出るのは避けられない病気です。

適切な治療を受けるためには、乾癬の症状や日常生活での不便さ、疑問や悩みはすべて医師に伝えてください。根気強い治療継続が大切となります。

基本的には対症療法となりますが、まずは症状を抑えることに集中し、ストレスを感じない環境に自分を持っていけるようにしましょう。

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